「合唱コンクールの感想文、どう書けばいいの?」
子どもがそう言って手が止まってしまった経験、ありませんか?
体験をもとにした感想文は、本当に難しいですよね。

自分が体験したことなんだから、これなら書けるわよね
大人はついそう思ってしまいます。
でも実は、
「何を感じたのか」
「どうしてそう思ったのか」
を言葉にするのは、大人でも意外と難しいものです。
ここで求められている文章が「日報」とは違うからです。
イベントの感想文と日報のちがい
作文は「出来事を中心に書く」ことが多く、
感想文は「感じたことや考えたこと」を中心に書きます。
つまり、イベントの感想文は「心の動きを説明」したものに対して、日報は「時系列でその日の出来事だけを伝える」という点で大きく違います。
でも、子どもにその区別はつきません。だから、難しく感じるのです。
また、「感想文が日報と違う」ということは理解していても、感想文のスタイルが分かっていないと、スラスラと書き進めることはできません。
ここからは、「どうして感想文を書くことで文章力が伸びるのか」や「イベントや校外学習などの体験を上手にまとめる感想文の書き方」について解説します。
なぜ「体験型の感想文」が子どもの文章力を伸ばすのか
感想文とは、単に出来事を説明する作文とは異なります。
その本質は、「心の動き」を記録することだからです。
体験を通じた自分の気持ち(ワクワクした、怖かった等)
体験から得た自分の考え(私ならこんなものが作ってみたい等)
これらを書くことで、文章は生き生きとし、読者にも強く印象を与えることができます。
しかし、ここで大きな壁があります。
子どもは、自分の心の動きを言葉にするのが得意ではありません。
感想文は「心の変化」を書く
子どもは、何も感じていないわけではありません。
「ワクワクする」
「失敗したらどうしよう」
など、心の中ではたくさんのことを感じています。
ただ、それをあとから言葉にするのが難しいのです。
「何が・どうして」を考えると書きやすくなる
イベントや体験学習に参加した子どものほとんどが「楽しかった。またやってみたい」だと言うでしょう。
たしかにそうなのでしょうが、それだと、たった1行で終わってしまいますよね。
でも、ここで
何がどうして楽しかったと思えたのか?
という点をはっきりさせると、話は一気に広がってきます。
これは当たり前のような事かもしれませんが、子どもたちは、豊かな体験をしていても、「楽しかった」と片付けてしまうことがあるのです。
子どもの心の動きに名前をつけるお手伝い
「どうしてそんなふうに感じたの?」と聞かれても、子どもはすぐには答えられません。
なぜなら、子どもたちは自分が感じた気持ちの名前を知らないかもしれないからです。
もしも子どもが言葉に迷っていたら、少し「心の動きに名前」をつけるお手伝いをしてみてもいいかもしれませんね。
たとえば、
「それは“悔しい”って気持ちかもしれないね」
「少し不安だったのかな?」
と言葉を添えることで、子どもは自分の考えを話しやすくなるかもしれません。
私の子どもたちの例
ここで、私の子どもたちの例を紹介します。
子どもたちも、感情を表す言葉を知りません。英語については私自身が細かいニュアンスでその言葉を伝えられないのと、日本語についてはカナダ育ちが原因です。少しずつ本や会話を通じてその感覚を掴んでいる途中です。
私は子どもたちの状況を分析する中で、同じことが日本の子どもにも同じように起こっているのではないかと思ったのです。
感情に名前をつけると書きやすくなる
先の「釣り堀体験」をしている最中の気持ちの変化に言葉をつけてみました。
・みんなが釣れているのに、自分だけ釣れず「くやしかった」
・帰る時間が近づいてきて「あせった」
・「最後まで釣れないかもしれない」と不安になった
・ウキが動いた瞬間、ドキドキした
・大きな魚が釣れて、うれしく、誇らしかった
・最後には「自分にもできた」と自信がついた
一つの出来事の中には、いくつもの気持ちが隠れていることがあります。
そのとき、子どもはうまく言葉にできないかもしれません。
そんなときは、
「くやしかった?」
「泣きたくなった?」
「イライラした?」
など、気持ちの候補を大人が少し手渡してあげるのも方法です。
そして、
「どうしてそう思ったのかな?」
と聞くことで、気持ちと出来事が結びつきやすくなります。
イベント体験を感想文にする4つのステップ
感想文の書き方に迷ったら、この順番で整理してみましょう。
① やったことを思い出す
時系列で、
- 何をしたか
- 何が起こったか
を思い出していくと、書くときに整理しやすくなります。
② どの場面について書くか決める
山場を一つ決めて、その場面を丁寧に書くと、感想文はぐっと書きやすくなります。
③ その時感じた気持ちに名前をつける
そのときどんな気持ちだったのか、振り返ってみましょう。
「~と思いました」だけで終わらせず、
「なぜそう思ったのだろう」
と、あと一歩考えてみるだけで、感想文に深みが出てきます。
④ つなげる
選んだ場面を読み手にわかりやすく伝えるためには、文章の「はじめ・なか・おわり」を意識することも大切です。
なぜその場面でそんな気持ちになったのかは、その前後の出来事がわからないと伝わりにくいからです。
感想文の構成テンプレート
感想文が苦手な子どもでも書けるようになる、基本の三段構成です。
「はじめ・なか・おわり」のテンプレート
はじめ:どんな体験をしたか
例:「〇〇フェスティバルに家族で参加しました。」
なか:心に残ったできごとと気持ち
例:「金魚すくいで失敗してくやしかったけれど、あきらめずに挑戦したら一匹すくえました。」
おわり:学んだこと、これからの意欲
例:「あきらめずに挑戦することの大切さを学びました。来年はもっと上手になりたいです。」
このテンプレートを使えば、どんな体験でも整理しやすくなります。
子どもでも構成を意識することで、文章がぐっと読みやすくなります。
「はじめ」で迷ったら
「はじめ」で使える書き出しアイデア
1.自分の声から書き始める。<例>「あいたっ!」
2.他人の声から書く。<例>「あと5分で始まりますよー」
3.音から書く。<例>「ピンポーン!」「ガチャン!」
4.自分の意見から書く。<例>「私は魚が嫌いでした。臭いし、目が怖いからです。だから釣り堀体験にいくのはとても嫌でした。」
5.疑問や発見から書く。<例>「どうして合唱コンクールはあるのだろう。」
6.繰り返しから書く。<例>「食べた、食べた、食べまくった!」
7.告白から書く。<例>「正直、〇〇くんは苦手でした。」
8.会話から書く。<例>『「お菓子を買うお金は、バッグのここに入れるからね?」とお母さんが言った。でも僕は「うん」と答えたのに、お母さんの指先をちゃんと見ていなかった。』
感想文でよくある失敗は、「説明だけになる」「感情だけを書く」「同じ言葉をくり返す」です。
「うれしかった」という気持ちも、「胸があたたかくなった」「思わず笑顔になった」など、別の言葉に言い換えるとより伝わりやすい文章になりますよ。
感情を言葉にしようとしても、「他の言い方が思いつかない」ということもあります。
そんな時は、表現辞典や類語辞典も役立ちます。
【おすすめ1】日本語表現インフォ「書き手のための表現辞典」
言い換える言葉に迷ったら、他の人はどんな風に表現しているのか見てみましょう。
【おすすめ2】日本語シソーラス 連想類語辞典
知っているはずの言葉もなかなか思い浮かばないこともあります。そんな時は類語辞典がおすすめです。
【おすすめ3】新レインボー 小学類語辞典(オールカラー)

「デジタルから離れたい」と思ったら、紙の辞典が便利ですよ!
さいごに
感想文は、ただ宿題を終わらせるためのものではありません。
「自分はどう感じたのか」を考え、言葉にする経験は、これから先のコミュニケーションや考える力にもつながっていきます。
イベントや体験のあとには、
「何が心に残った?」
「どんな気持ちだった?」
と、ぜひ親子で話してみてください。



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